こんにちは、蓮です。子供に「鯉のぼりの上のやつ、なんでついてるの?」と聞かれたことありませんか?
私も先日息子に聞かれました。そういえば私も子供の頃、そんな疑問を抱いたなぁと思いだしつつも、答えはわからず。
「飾りだよ、飾り」と答えた適当なわたし・・・
同じようにお子さんに「鯉のぼりの上のやつ」について質問されちゃったパパママのために、鯉のぼりの一番上のやつの意味と由来をご紹介いたします。
鯉のぼりの由来は中国にある?
「登竜門」というのは、「登竜の門」という風に理解しているのではないかと思いますが、本来は「竜門を登る=登+竜門」」というのが正しい読み方。「竜門」は中国黄河の上流にある急流で、ここをさかのぼることのできる鯉は竜になるという。
— 為になる言葉 (@tameninaru) 2018年2月17日
鯉のぼりの上のやつの解説の前に、まずは鯉のぼりの由来について知っておきましょう。
その歴史を語るためには、中国に舞台を移す必要があります。
中国の古い書物(後漢書)に書かれている有名な物語【登竜門】をご存知でしょうか。
黄河にある「竜門」という激しい急流を、鯉だけが登りきり、竜になることができたという逸話があります。
このことから、鯉の滝登りは「立身出世の象徴」として捉えられるようになったのです。
「仮面ライダーは若手俳優の登竜門である」とか、息子の好きな仮面ライダー関連ニュースを見ていると書いてありますよね。
登竜門:立身出世、入学などの狭き関門を指す
とあるように、大学受験などの、運や知識・才能あるものだけが通過できる狭き門を「登竜門」といい、そこを通過する願いを込めるために、鯉のぼりが飾られるようになったのです。
他の魚が登れなかった急流を登りきり、竜へとなって現代まで語り継がれる鯉。
男の子の母として「鯉のぼり」に立身出世の願いを込める気持ち、身にしみます。
鯉のぼりの上のやつの意味
江戸時代がはじまり
日本で鯉のぼりが飾られるようになったのは、江戸時代。
意外と歴史は浅いです。
当時は紙、布、不織布などに鯉の絵を描いて、その上に鯉の形を模した「吹き流し」を風になびかせていたそうです。
「皐幟(さつきのぼり)」や「鯉の吹き流し」とも呼ばれていました。
つまり、当時は現代のように鯉が風になびいていたわけではなく、鯉の絵の上に吹き流しがなびいていたんですね!
鯉を模した吹き流し
鯉のぼり。
吹き流しには、名前と両親の家の家紋。 pic.twitter.com/gGO9jxYBT8— 中沢 克之 (前鎌倉市議会議長) (@nakazawajimusho) 2018年1月1日
この当時の「吹き流し」こそ、現代の鯉のぼりの「一番上のやつ」として、残っているのです。
一番上のあいつ・・・江戸時代は「鯉」だったのか笑!
って意味を考えちゃうと妙な気はしますが、見た目のデザイン性でいうと、見慣れた吹き流しがあったほうが、鯉のぼりは断然見栄えが良くなります。
やっぱり最初の母のごまかし通り、現代での吹き流しは「飾り」要素が強いということです!
えっへん!正解だった!(てきとー言ったのに笑)
吹き流しの下に「鯉」モチーフ版が登場した歴史
『江戸っ子は、皐は鯉の、吹き流し』こんな歌が読まれるほど、当時江戸では鯉のぼり(現代の吹き流し)が話題となりました。
端午の節句に男の子の立身出世を祈る年中行事はもともとあったものの、そこに鯉のぼりが風習化したのは、庶民のパワーゆえのこと。
武家よりも身分が低いとされたが、裕福な商人の家庭などでは経済力を象徴するかのように、それまで1色だった吹き流しのカラーを5色に染め始めたのです。
それだけではなく、吹き流しそのものに、鯉の絵を描きました。
これこそが、現代知られている鯉のぼりの始まりと考えられます。
ちなみにこれは関東圏のみの流行で、関西に鯉のぼりが普及したのはもっと後世です。
由緒ある江戸の鯉のぼり、毎年東京タワーで333匹の鯉のぼりが飾られるので、お子様と見に行ってみてください!
吹き流しが5色になった由来
上述したように、吹き流しのカラーは昔は最初は一色。
後に江戸庶民パワーでカラフルに染められていくことになりますが、それが現代のように「吹き流しは5色で当たり前でしょ?」ってところまで定着するのに、まだまだ過程があったんです。
陰陽五行説
吹き流し5色にいたるまでの由来がいくつか通説があるので、以下にお伝えいたしますね。
まずよく言われるのが「陰陽五行説」です。
古代中国から伝来した「天地万物は『水、金、土、火、木』の5つの要素で形成されているという、陰陽五行説。
鯉のぼりは神様に、子供の立身出世を願うために掲げられたもの。
神社がこの陰陽五行説に基づいて、古くから「端午の節句」を祝うときに、五色の布を使用したのが始まりという説がもっとも有力です。
昔は村単位とか、自治体単位で祝っていたのかもしれませんね。そのとき目にした5色の布をそのまま模倣して、一般家庭に浸透した際にも同カラーの吹き流しをつけたという説は、たしかにありえそうです。
東京オリンピック説
今でこそ、4月半ばになると「忘れてた~!」と、慌てて各家庭で鯉のぼりを飾る習慣が根付いていますが、それは実は最近になってからのこと。
そう、各家庭で鯉のぼりを飾ることが一般的になったのは、戦後の復興がすすんだ昭和の初期~半ば頃なんです。
家庭ごとに1個の鯉のぼりを飾るなんて贅沢な習慣も、ここ4~50年くらいの浅い歴史ではないでしょうか。
4~50年前というと、時代はまさに「東京オリンピック」で日本が沸いている時期。
鯉のぼり職人が目にした「五輪マーク」が、吹き流しのカラーを5色にするきっかけになったという説があります。
ちなみに五輪カラーの5色の由来は、「アジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア」の5大陸を現しているそうです。
鯉のぼりそのものの由来や起源を考えると、吹き流しカラーの由来も陰陽五行説が有力な気もしますが、鯉のぼりメーカーのふとしたアイデアだとすると、それはそれで面白いですよね。
鯉のぼりのポールの一番上の玉は?
「鯉のぼりの上のやつ、何のためにあるの~?」ときく我が子に、したり顔で吹き流しの説明をしたら、「ちがう!あの上の丸いやつのこと!」といわれることもあります。
あ、そっちが知りたかったのね。
よしよし、ママに任せなさい、ちょっと調べるから。
天球の意味
鯉のぼり、茨城の田舎だとこういうの付けるんだよな、矢車の代わりに祝い籠(下に竹製の矢車がついている場合もある)。 #ひよっこ pic.twitter.com/xnhs0e3tDg
— ののまる (@nonomaru116) 2017年8月11日
まず、鯉のぼりのポールの一番上の玉。
あれは天球(てんきゅう)とか回転球(かいてんきゅう)と呼ばれています。
昔は竹ひごで編まれていたそうで、「神様が降りてくる目印」といわれていました。
ポールにさした鯉のぼりたちが、強風で上にするっと抜けちゃうのを留めてるだけの装置じゃありませんよ、決して。
矢車の意味
天球の下に、鯉のぼりが風に揺られているときにくるくると回って「カタカタ」なっているあの上のやつ。
あれは「矢車」という名前。
矢車には、魔よけと幸運引き寄せ効果があるといわれており、
縁起物として飾られてきました。
矢車も元はなかったもの。鯉のぼりの上には天球だけだった時期もあったそうです。
しかし人々は考えました。
「…天球だけじゃ神様気付かないんじゃね?」「神様気付くように音鳴らそうぜ!」と…。
そう…矢車は神様へ「ここに男の子いまっせ!」というアピールのために、後世につけられたんです!
「神様」は「目の遠い爺さん」扱い…?
鯉のぼりの色と数の意味
鯉のぼりの上のやつについて詳しくなったところで、次は現代鯉のぼりの色についての歴史をご紹介いたします。
鯉のぼり全般に詳しくなって、来るこどもの日にはスラスラ答えられるよう頭に入れちゃいましょう!
鯉のぼりの色も、歴史と共に移り変わってきました。
- 江戸時代:黒い真鯉(まごい)
- 大正時代:黒い真鯉
- 明治時代:黒い真鯉と緋鯉(ひごい)の2匹を対で飾る(両方黒)
- 昭和時代:黒い真鯉と緋鯉+子供を表わす青い鯉
その後昭和時代で、「鯉のぼりは家族」という考えが定着し、オレンジや緑など華やかな色の鯉のぼりの需要が一気に高まりました。
黒と青という2色よりも、景観の美しい芸術性の高さが求められるようになったのですね。
新たに子供が生まれた家庭では、一番下に小さな鯉のぼりが足されるなどしました。
鯉のぼりの上のやつの意味と由来・まとめ
さて、鯉のぼりの上のやつの意味と由来、また鯉のぼりの色と数について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
- 鯉のぼりの由来は中国の「登竜門」にある
- 鯉のぼりの上のやつは江戸時代「鯉」だった!
- 江戸時代の武家から鯉のぼりの風習が始まった
- 江戸中期に裕福な江戸商人により、鯉のぼりの現代デザインの雛形が出来上がった
- 昭和時代に、人々のニーズより、鯉のぼりの色がカラフルになった
- 同時期から、鯉のぼりの数は家族の数と合わせられるようになった
端午の節句の兜や儀式などとは違い、裕福な武家スタートとはいえ一般市民の人気ゆえに発展・普及した鯉のぼり。
人気を呼んだのは、ひとえに「我が子に強くたくましく、立派に成長してほしい」という親心ゆえでしょう。
ちなみに息子に鯉のぼりの歴史を話したら、「じゃああの上のやつ(吹き流し)は家族じゃないね」って言われました。
…本とだ!「先祖だよ、先祖」ってまた適当に答える母でした笑
ここまで読んでくれてありがとうございました。
皆様のお子様も、我が家の子供たちも、
健やかに急流登る鯉のように成長してほしいものですね。